【企業型DCの導入シミュレーション】シミュレーションで見えるメリットとは

将来の資産形成に不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。特に企業の人事・労務担当者にとって、従業員の老後資金に対する備えは大きな課題の一つです。
そこで注目されているのが「企業型DC(確定拠出年金)」です。制度自体は知っていても、実際にどれだけの効果があるのかを把握するのは難しいかもしれません。
この記事では、企業型DCの効果をシミュレーションすることで見えてくる3つのメリットについて解説します。
制度を導入すべきかどうか悩んでいる企業の方にとって、判断材料のひとつとなるはずです。
シミュレーションで見える企業型DCの3つのメリット
企業型DCの大きな特徴は、掛金を従業員が自ら運用し、その結果が将来の受取額に反映される点にあります。しかし、「運用」と聞くだけで不安に思う方も多いでしょう。
1. 老後資産の「見える化」で将来設計がしやすくなる
運用の不安を取り除く手段として役立つのがシミュレーションです。
- ・毎月いくら拠出するか
- ・想定利回りはどの程度か
- ・何歳までにいくら貯めたいか
こうした条件を元に将来の受取額がいくらになるのかを可視化することができます。これにより、従業員は「いま何をすべきか」が明確になり、将来に対する不安も軽減されます。
2. 節税効果が一目でわかる
企業型DCは、所得税・住民税の節税効果がある制度です。企業が拠出する掛金は非課税扱いとなり、さらに従業員が拠出する場合も、拠出額は所得控除の対象になります。
シミュレーションを行うことで次のような効果が期待できます。
- ・年間でどれだけの税金が軽減されるか
- ・○年後にいくらの節税効果が出るか
数字として可視化されることで、「節税しながら資産形成できる」という企業型DCの魅力がより伝わりやすくなります。
3. 企業型DCの導入効果を従業員に説明しやすくなる
企業側にとって、制度導入後の従業員への説明は重要なステップです。しかし、確定拠出年金の仕組みは専門用語も多く、初めて聞く従業員には伝わりづらいこともあります。しかし、シミュレーションを使えば、
- ・「このくらいの掛金で、将来これだけ増える可能性があります」
- ・「節税効果もこれだけ見込めます」
ということを視覚的・具体的に説明できます。結果として、従業員の理解度や制度への納得度も高まり、福利厚生としての満足度向上にもつながります。
→企業型DCのメリットとデメリットについてさらに詳しくはこちら
シミュレーションで見落としがちな注意点
これまで多くの企業に対して企業型DCの導入に関わってきた経験から、シミュレーションの際に注意しておきたいポイントをお伝えします。
過剰な利回り設定:
実現性の低い利回りで計算してしまうと、将来の期待値が高くなりすぎてしまいます。
退職金制度との重複:
企業型DCは退職金の一部として扱われるケースも多く、他の制度とのバランスを考慮する必要があります。
加入対象者のライフプラン:
年代や家族構成によってニーズが異なるため、一人一人の環境に応じたシミュレーションが必要です。
これらを踏まえ、専門家と相談しながらシミュレーションを行うことが重要です。
実際に行った企業型DCシミュレーションの事例紹介
ある中小企業(従業員数50名)の事例では、制度導入前に複数のパターンでシミュレーションを行い、企業負担額、従業員の将来受取額、税制優遇のインパクトなどを可視化した結果、従業員の9割が制度に前向きな姿勢を示しました。
導入後は、従業員から「将来に希望が持てた」「会社が自分の老後まで考えてくれていると感じた」といった声も寄せられました。
シミュレーションの具体例
たとえば、30歳の従業員が企業型DCに加入し、企業からの拠出金として月2万円(年24万円)を受け取るケースを想定します。この従業員が60歳まで30年間拠出を続け、年利3%で運用できたと仮定すると、以下のようになります。
シミュレーションの具体例:30歳会社員が月2万円拠出した場合
項目 | 数値 |
拠出総額 | 720万円(24万円×30年) |
運用益込みの将来資産 | 約1,160万円 |
増加分(運用益) | 約440万円 |
※シンプルな複利計算(年利3%、毎年24万円拠出、年1回複利)に基づいた想定値です。
シミュレーションから見えてくるメリット
このシミュレーションの結果によれば、拠出した金額は720万円、それが運用により約1,160万円に増える可能性が確認できました。
さらに、企業型DCの拠出金は全額所得控除対象となることから年収500万円前後の従業員であれば、年間で約48,000円前後の税負担が軽減されることになります。
まとめ
企業型DC(確定拠出年金)は、企業と従業員双方にとって大きなメリットのある制度ですが、その効果を正しく理解するためには「シミュレーション」が不可欠です。将来の受取額や節税効果を具体的に“見える化”することで、資産形成の目標設定がしやすくなり、従業員の制度理解も深まります。特に中小企業においては、福利厚生の一環として従業員満足度の向上にもつながる重要な制度です。
ただし、利回りの設定や他制度とのバランスなど、見落としがちな注意点もあるため、制度設計や導入時には専門家のサポートが効果的です。
※この記事のシミュレーションは一例であり運用成績をお約束するものではありません。